【コラム1】甘くならないと

店長コラム

■ビールが甘くなった日
ビールが初めて美味しいと思った日をハッキリ覚えている。24歳の秋、仕事の後のミラージュホテル(ラスベガス)。これ、カッコ付けているのではなく、ホントだからしょうがない。その瞬間、すぐ父の言葉を思い出した。「アルコールが甘くなったら教えてくれ」初めてその意味が分かった日だった。旨みの原理=大人の楽しみだろうか。

■焼酎が甘くなった日
それから3年後、宮崎に帰る事になるのだが、ふと食べた鶏炭火焼の美味しさにビックリした。焼酎が甘みを引き立て、炭火の香りを上品に演出する。弾力性のある鶏肉をかみしめる度に肉汁の旨みが口の中に広がっていく。いやぁ、なんて、美味しいんだ・・・・しみじみとそう思った。アメリカにはなかった食べ合わせ、飲み合わせ、そして都道府県に食文化がある。そして宮崎にこの食文化が存在している。スモーク・エースの鶏炭火焼、改めてすごい。あの時の一口が今も忘れられない。この感動を全国に届けたいという原点は日にあると思っている。

■最初は匂いが付くのが嫌だった
鶏炭火焼も燻しながら焼き上げると炭の匂いになってしまうし、燻製の匂いは更に強烈。薫煙中の釜の前を通り過ぎるだけで頭の先からつま先まで、一瞬にして自分自身がスモークされてしまう。これがまた厄介で、社内にいるとその匂いが麻痺して来る。その感覚で買い物に行こうものなら大変だ。この人のこの匂いは何だろう?という事になる。正直それが嫌だった時期もある。しかし、時を経てその匂いが香ばしさであるという事に気が付く。釜出しの燻製品が放つ黄金の輝きは香ばしさは美味しさの象徴であり、大人の「ごちそう」そのものだ。この渋さは若いころには分からない。しみじみそう思う。

■年を重ねなければ分からないこと
酒が甘く感じるというのは、食に対する精神年齢が渋くなり美味しいさを受け入れる準備が出来た(大人になった)事を意味しているだと思う。幸いにお酒が好きな体質だからいいが、アルコール離れが進む現代ではこの楽しみが分からないという事が不憫でならない。飲めない方は舐める程度でもお酒に慣れてみるのもいいだろう。日常と非日常。オンとオフ。大人のしみじみとした時間がそこに流れるはずだ。大人はいいもんだ。

■美味しいという究極の響き
スモーク・エースの商品が黒い!(鶏炭火焼)と言われるのはビジュアル面だから仕方がない。味覚は人それぞれ異なる中で、「美味しい」と言って頂けるほど嬉しい事はない。食品はその言葉が全て。それ以上でも以下でもない。本当に美味しいと感じれば真っ黒い鶏炭火焼でも愛おしくなるはずだ。その方達がギャップがいい!などという評価を下さっているに違いない。日本に暮らしていて一つ不満がある。海外と違って大人が楽しむ場所が年々減って来るのだ。そんなことはない、という方は意識と価値観が鋭い一部の方に違いない。大人の楽しみとして、渋いスモーク製品がそこにある生活をして頂ける提案をしていきたいと思う。
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