■業務用製品として人気の高いソフトベーコン
スモークソフトベーコンは業務用プロ食材として確固たる地位を築いてきた本格派の製品です。特にネット通販を通じてその違いを伝えさせて頂いてきたことにより全国の名だたる飲食店様から特別メニューとしてご愛顧を頂いています。その中でも都内を中心に私達のベーコンを鉄板スモークソフトベーコンとしてメインで長年お取扱い頂いているお客様とのやりとりを今回はご紹介させて頂きたいと思います。
■価格改正をどう説明すればよいのか。
現在の食肉業界は全て価格高騰していると言っても過言ではないと思います。特に宮崎産豚肉は口蹄疫やPETなどの影響が響いており価格が高騰しました。昨年ぎりぎりまで価格を据え置いてきましたが限界に達し、2月1日より豚肉製品の価格改正を断腸の思いで致しました。業務用でメニューとしてご使用頂いている料理人の方々にも説明させて頂きました。その中でK様(仮名)への現状説明は眠れないほど悩みました。6年以上もコンスタントにご注文を頂き、造り手の喜びとしてK様からの注文を楽しみにしてきたからです。正直、価格改正によりK様との関係性が終焉してしまうのではないかということが一番心配だったのです。
■何とか誠実に応えるためにはどうすれば良いか。
スモークソフトベーコンも含む私達の燻製品は古典的製法で全て製造されている為、手間ひまも考慮すると効率的な製品といえません。価格改正をしなければ対応できない(赤字は意味が無い)ところまできていました。その状況はK様も重々ご承知でした。そこで私達はK様の価格帯に耐えうるべく他の原材料(豚肉)を探しました。当然、他の国産品でも値段は折り合わず海外産の原材料になってしまいます。過去に試作はしたことがありましたが、K様の為に海外産の原料を使い私達の製法でスモークソフトベーコンを試作してみることにしました。
■試作が出来上がってきました。
10日後、海外産の豚肉で製造したスモークソフトベーコンが出来上がりました。早速試食をしてみることにしましたが、通常の宮崎産国産ベーコンとの違いは歴然でした。しかし、私達の製法で仕上げていますから世間一般的には美味しいベーコンに仕上がったと感じました。検討した結果、今までの宮崎国産スモークベーコンと海外産スモークベーコンの同サイズの試作をK様に送り、率直なご意見を頂く事にしました。それから2週間ほど経ち、私が所用からなぜか胸騒ぎを憶えながら会社に戻った時、K様からの電話が鳴りました。
■率直に国産と海外産を試食された上で
几帳面にネット決済でお取り引きさせて頂いていたため、K様とじっくりお話しする機会は初めてでした。この2週間の間にK様のスタッフ全員で、今回の2種類のスモークベーコンを食べ比べる試食会を行ったそうです。全員が食べ比べた結果、宮崎国産スモークベーコンは別格だという意見に達したという嬉しいお言葉を頂きました。「海外産を先に食べたのですが、美味しいと感じました。しかし、今までのスモークソフトベーコンがいかに別格か再認識させて頂きました。価格は高くなりますが、今まで通り頑張ってみます。新店舗は厚切りベーコンを主体とした鉄板グリルスタイルで提供したいと考えています。」
有り難いの一言で、感動で少し会話に間が空いてしまいました。そして私は言いました。「私達も改めて違いを確認させて頂きました。より一層の品質向上に努めて製造します。」電話を切った後、何とも言えない感動にしんみりしてしまいました。
■まとめ|長年のお客様との関係に応えるために
食品業界全体の原価高騰が続いています。私達も2月1日よりスモークチーズとソフトベーコンの価格改正をさせて頂きました。2品とも長年のファンが多い製品で、今回の決断は心が痛みましたが現状を考えるとこれ以外に選択はないという結論に至りました。これを機にスモーク・エースはさらに真剣な物造りに励み、高品質で「どこにもない美味しさ」を提供させて頂きたいと思っています。海外産だから、国産だからというのではなく、安心で安全な素材が1番。その中でお客様のニーズに応えた製品造りもこれからの時代は必要になってきていることを強く感じました。しかし、美味しい。が1番です。妥協しないA級品を今後も造り続けて行きたいと思っています。