■ドイツソーセージはなぜ日本で浸透しないのか
数年前にドイツを訪れた時、日々出されるソーセージ・ウィンナー正直飽きてしまったという思い出がある。初日は新鮮に感じたが、徐々に苦痛に変わってきた。とにかくドイツの食事はよく言えば質実剛健、悪く言えばとても質素。彼らの食事は1日5食(間食を含む)とも言われている。ドイツでは朝食と夕食を簡単なもので済ませ、そのぶん昼食は時間をかけたっぷりと食べることが多い。パン、ジャガイモ、肉、ソーセージ、チーズ、ホワイトアスパラガス、それにビールもしくはワインなどが食卓に並ぶ。和洋折衷、世界の食材が集まる飽食の日本の食卓と比べるとバリュエーションの少なさは否めない。
■日本で言う魚を余すところ頂くという感覚
スペインイタリアなどと比べても新鮮な野菜を食べる習慣があまりない。冬は寒く、農作物が豊富な環境にない為であり、その土地に豚を放牧させ保存食として試行錯誤されたのがドイツのハムソーセージの文化だ。ドイツのマイスターは地位も社会的地位も確立された文化であるが、基本的に一頭の豚を余すとこなく食用に振り分ける作業である。これは日本人が魚を頭から尻尾、または骨まで頂く文化にとてもよくにていると思う。基本的に保存食で冬をしのぐという考え方だ。野菜もフレッシュではなく、ザワークラフトのように酢漬けにした保存食としての野菜。肉類は加工したハムソーセージ・ベーコン・ハムなどの保存食。保存食で寒い冬を乗り切るという長い食文化から生まれた文化なのだろう。
■物足りなさを感じるも
日本で食するウィンナーの位置付けで大きく異なるのは、ドイツ人にとってウィンナーソーセージは日々の主食であるという事だ。ドイツで食べた燻煙ソーセージなどの印象は「もの足りない」という点だった。しかしドイツ人にとって日常食であるハムソーセージは毎日食べ続けていくと調度良い。味がハッキリしていると日常食としては難しい。日本人が味噌汁と白米を毎日食べても飽きないのは、具材を変えたりおかずと食べ合わせたり日々のバリュエーションを効かせることができるからだと思う。もの足りないソーセージは味噌汁の原理に似ていると思う。ホワイトウィンナー=バイスブルストも脂身を多く含むが、エネルギーをハムソーセージから補充するという寒い国ならではの食文化そのものだと感じている。
■日本独自のハムソーセージ文化が正しいと思う
青空の下のドイツの屋台でパリパリに焼いたソーセージとドイツビールはとても美味しかった。その豊かさのイメージで商品開発したのが鶏せせりガーリックフランクだ。宮崎のせせり肉をアレンジしたフランクフルト。毎日食べるというよりも週末にガッツリ食べて欲しいという思いで商品開発した。ドイツで美味しいと思ったソーセージを日本で食べるとイマイチだった。風土、空気も食文化に影響しているのだろう。素材に溢れている日本の食生活の中で、日本のハムソーセージは独自のアレンジを加え、チーズ入りウィンナーなどユニークな進化を遂げてきた。私達も日本人に合うハムソーセージ、個性的でスモーク・エースにしか出せない美味しさを追求している。
■自分達が美味しい!たまらない!そんなハムソーセージを増やしていきたい
自分自身、何かと言えばビールと一緒にソーセージが食べたくなる。腸の中に肉を詰めるというアイディアにいつも感激している。よく考えたものだ。今までは鶏せせりガーリックフランクやみやざき地頭鶏を使用したオリジナルウィンナーなど個性的なソーセージが今まで多かったがスタンダードな製品も今後開発したいと考えている。自分が食べたいものをおすそ分けするというスモーク・エースの創業の精神からするとソーセージは非常にテンションが上がるテーマだ。なぜなら自分達が大好きなジャンルだからだ